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歯磨きは食後すぐに行うべきか?
こんにちは。
自由が丘シーズ歯科・矯正歯科です。
本日は歯磨きは食後にすぐ行うべきなのかについて考察してみました。以前ネットなどにも30分待ってから磨くのがベストなどの記事がでていましたが、それは本当なのか調べました。
まずその前に口の中のベストなpHはどのくらいなのでしょうか。
1. ベストな数値は「pH 6.8 〜 7.0」
通常、健康な人の唾液は pH 6.8前後 で安定しています。この状態であれば、歯の表面のミネラルが溶け出すことなく、健康な状態を保つことができます。
2. 境界線は「pH 5.5」(脱灰の始まり)
お口のケアにおいて最も重要な数字が pH 5.5 です。これを「臨界pH」と呼びます。
- pH 5.5以下(酸性): 歯の表面のエナメル質が溶け始めます(脱灰)。
- pH 5.5以上(中性寄り): 唾液の力で、溶けたミネラルが歯に戻ります(再石灰化)。
食事をすると、口内の細菌が糖分を分解して酸を作るため、一時的にpHはグンと下がります。しかし、唾液の「緩衝能(かんしょうのう)」という働きによって、時間をかけてゆっくりと元のpH 7.0付近に戻っていきます。
3. 口内環境を「ベスト」に保つコツ
理想的な数値を維持するために、以下のポイントを意識してみてください。
- だらだら食べを控える :頻繁に間食をすると、口内が酸性の時間が長くなり、唾液による修復(再石灰化)が追いつきません。
- 酸性の強い飲み物に注意: コーラ(pH 2.2)、スポーツドリンク(pH 3.5)、ワイン(pH 3.0)などは非常に酸が強いです。飲んだ後は水で口をゆすぐだけでも効果があります。
- 唾液を出す :よく噛んで食べることで、口内を中性に戻す最強の味方「唾液」をしっかり分泌させましょう。以前のブログでも紹介したように最低10回噛んでから飲み込むことや、歯応えがある食物繊維などをとるようにして咀嚼を意識しながら噛むことも有効と思われます。
よって酸が歯にとっては良くないことがわかりました。
それでは酸性の強いものを摂るとき、お口の健康を守るために「何を避け、何を組み合わせるべきか」をまとめました。
歯のエナメル質が溶け始める境界線(pH 5.5)を基準に、代表的なものをリストアップします。
酸性の強い食べ物・飲み物(pH 5.5以下)
これらは「酸蝕症(さんしょくしょう)」の原因になりやすいため、摂取の仕方に注意が必要です。
超強力(pH 2〜3) : レモン、コーラなどの炭酸のジュース、黒酢、ワイン、栄養ドリンク
強力(pH 3〜4) : ポカリスエットやアクエリアスなどのスポーツドリンク、オレンジ、ドレッシング、ヤクルトなどの乳酸菌飲料
中程度(pH 4〜5) : ビール、炭酸水、ケチャップ、醤油、リンゴ
酸を「中和・リセット」してくれるもの
酸性のものを食べた直後にこれらを摂ることで、お口の中を素早く中性に戻すことができます。
おすすめの飲み物
- 水(pH 7.0): 最も手軽で確実なリセット役です。
- 牛乳(pH 6.8前後): 弱酸性〜中性ですが、カルシウムとリンが含まれているため、歯の再石灰化を助けます。
- 緑茶・ほうじ茶(pH 6.0〜7.0): ほぼ中性で、フッ素も微量に含まれているため歯に優しいです。
おすすめの食べ物(アルカリ性食品など)
- 海藻類(わかめ、昆布、ひじき) : 強いアルカリ性食品です。しかも歯応えがあるので咀嚼も期待できるため唾液の干渉作用もありそうです。
- チーズ : アルカリ性でカルシウムが豊富。酸を中和し、エナメル質を保護する膜を作ってくれます。
- ナッツ類(アーモンドなど) : 唾液の分泌を促し、歯を強化するミネラルを含みます。ただし硬いので神経がない歯などで思いっきり噛むと歯が割れるリスクがあるため注意が必要です。
実践的な「中和」のコツ
酸性の強いものを楽しむ際は、以下の工夫が効果的です。
- 「追い水・追い茶」をする : ワインやスポーツドリンクを飲んだ直後に、お水やお茶を一口飲んで口をゆすぐように飲み込む。
- チーズをお供にする : ワイン(酸性)を飲むときにチーズを一緒に食べるのは、味だけでなく歯の健康にとっても理にかなった組み合わせです。
- ストローを使う : ジュースなどを飲む際、ストローを使うと酸が直接歯に触れるのを防げます。
- 直後の歯磨きは控える : 酸で歯が一時的に柔らかくなっているため、強い酸を摂った直後は水でゆすぐ程度にし、歯磨きは30分ほど置いてから行うのが理想的です。
ドイツのゲーテ大学の研究によると、酸に触れた直後から20分以内に磨いたグループは、エナメル質の摩耗が顕著に進んでいました。 一方、30分〜60分待ってから磨いたグループは、ダメージが大幅に少なかったという結果が出ています。
Attin T, et al. (2001) “Impact of brushing after an erosive attack on enamel.
しかし全ての食事が強酸性というわけではないので、食べ物や飲み物によってハイブリットな考え方で行うのがベストと考えられています。
- 酸っぱいもの(ワイン、お酢、炭酸、柑橘類)を飲み食いした時: 論文の通り、20~30分待つか、先に水でゆすいでから磨く。
- 普通の食事(ご飯、肉、野菜など)の時: 時間を気にせず磨いてOK。(むしろ、寝る前などは早めに汚れを落とす方が良い)
自由が丘シーズ歯科・矯正歯科でも現在はこちらのハイブリットな歯磨きのタイビングがベストと考え、通常の食事の場合にはすぐに歯磨きをして、酸性が強い食事や飲み物をとった場合には、水やお茶を最後に飲んだり、水でうがいをしたりしてpHを薄めて30分程度おいてから歯磨きをするように指導していこうと思います。ただし、30分おいてから歯磨きするのは、少しズボラな方の場合には歯磨きを忘れてしまう方もいますので性格的に忘れてしまいそうな場合にはすぐに歯磨きをしたほうが良いと考えています。
監修者
自由が丘シーズ歯科・矯正歯科 理事長 山口雅章
2005年昭和医科大学歯学部卒業、研修医終了後に昭和医科大学歯科矯正学教室勤務。2011年自由が丘シーズ歯科・矯正歯科開設。
所属:日本矯正歯科学会、東京矯正歯科学会、成人矯正歯科学会、日本舌側矯正歯科学会、日本包括的矯正歯科学会、日本顎関節学会、日本デジタル歯科学会、日本3Dプリンティング矯正歯科学会
