ブログ
BLOG
脳を活性化させる咀嚼について
こんにちは。
自由が丘シーズ歯科・矯正歯科です。
本日は脳と咀嚼の関係性についてまとめてみました。咀嚼にはボケ防止や脳の若返り、満腹中枢の活性化、ストレスの軽減に重要な役割があります。
1、脳内ヒスタミンと食欲コントロール
咀嚼刺激が脳に伝わると、視床下部という場所で**「神経ヒスタミン」**が放出されます。
満腹中枢の活性化: 神経ヒスタミンが満腹中枢を刺激し、「お腹がいっぱい」という信号を出します。これにより、過食を自然に抑えることができます。
内臓脂肪の燃焼: 驚くべきことに、このヒスタミンは交感神経を通じて、内臓脂肪を分解・燃焼させる指令も出しています。
2、 記憶力と認知機能の維持
「噛む」ことは、記憶の司令塔である**海馬(かいば)**を直接刺激します。
海馬の活性化: 咀嚼による刺激が三叉神経を経由して脳幹、そして海馬へと伝わります。これにより、記憶力の向上や学習能力の維持に寄与します。
認知症予防: 高齢者を対象とした調査では、自分の歯が多く残っている人や、しっかり噛める人ほど認知症の発症リスクが低いというデータが多くの論文で示されています。
3、メンタルヘルスとストレス緩和
リズム運動としての咀嚼には、心を落ち着かせる効果があります。
セロトニンの分泌: 一定のリズムで噛む動作は、幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌を促します。
ストレスホルモンの低下: よく噛むことで、ストレスホルモンである「コルチゾール」の血中濃度が低下することが実験で確認されています。イライラした時にガムを噛むのが効果的なのは、このメカニズムによるものです。
4、 脳血流の増大
噛む動作は、心臓から脳へ送られる血液の量を増やします。
脳全体の活性化: 前頭前野(思考や判断を司る部位)への血流が増えることで、集中力や判断力が高まります。プロのアスリートが試合中にガムを噛んでいることがあるのは、反射神経や集中力を研ぎ澄ませるためでもあります。
咀嚼によって活性化する脳の主要部位
咀嚼を始めると、刺激は「三叉神経」という太い神経を通って、脳の広範囲にリレーのように伝わっていきます。
1、感覚・運動のエリア(中心前回・中心後回)
まず、顎を動かすための指令が出る場所と、噛んだ時の感触(硬い、柔らかいなど)を受け取る場所が活動します。
咀嚼のリズムをコントロールし、食べ物の質感をリアルタイムで分析します。
2、知的活動の司令塔(前頭前野:PFC)
人間を人間たらしめる、最も高度な脳の部位です。
咀嚼による血流増加の恩恵を最も受けやすく、**集中力、判断力、ワーキングメモリ(作業記憶)**が向上します。仕事や勉強前、あるいはスポーツ選手がガムを噛むのは、ここを「アイドリング状態」にするためです。
3、意欲と報酬のエリア(線条体・側坐核)
「美味しい」「心地よい」と感じる、脳の報酬系です。
咀嚼によってドーパミンが放出され、食事の満足度を高めます。坂田教授の研究でも、よく噛むことで少ない量でもこの報酬系が満たされ、依存的な過食を防げることが示唆されています。
4、情動と記憶のエリア(扁桃体・海馬)
ストレス管理と記憶の定着を司る、脳の深部です。
海馬: 咀嚼刺激が神経成長因子(BDNF)を増やし、新しい神経細胞の生成を助けます。
扁桃体: ストレス反応を抑え、不安を和らげる「鎮静効果」をもたらします。
咀嚼が脳を「若返らせる」サイクル
論文(Azuma K, et al. 2017 など)でも、咀嚼が低下するとこれらの脳部位が萎縮しやすくなることが警告されています。これを防ぐための理想的なサイクルは以下の通りです。
入力: 歯根膜から三叉神経を介して強力な信号を送る。
血流: 脳全体の血流量が最大20~25%程度増加する。
化学: 神経ヒスタミンやセロトニンが分泌され、ホルモンバランスが整う。
構造: 継続的な刺激が、海馬などの神経回路の密度を維持する。
監修者
自由が丘シーズ歯科・矯正歯科 理事長 山口雅章
2005年昭和医科大学歯学部卒業、研修医終了後に昭和医科大学歯科矯正学教室勤務。2011年自由が丘シーズ歯科・矯正歯科開設。
所属:日本矯正歯科学会、東京矯正歯科学会、成人矯正歯科学会、日本舌側矯正歯科学会、日本包括的矯正歯科学会、日本顎関節学会、日本デジタル歯科学会、日本3Dプリンティング矯正歯科学会
